~古民家・定年・集いの場~「やたいさんのコテツの部屋」

◆10年程前「私の夢:集いの場をどう作るか」というブログを行っていました。夢は達成されていませんが、これまで行ってきたことや、今後の取り組みなどを、時事的なものと絡めて記していきます。コ(古民家)テ(定年)ツ(集いの場)がキーワード。

◇「べてるの家」

北海道浦河町にある「べてるの家」をご存知だろうか?
先日の、森川すいめい氏の話にも出てきた、上野千鶴子教授の話にも出てきた、あの「べてるの家
である。
名前の由来「べてる(Bethel)」は旧約聖書・創世記に出てくる地名で、「神の家」という意味。
「べてる」は、ヘブライ聖書創世記でヤコブが天に達する階段の幻を見て神の祝福を受けた土地に
命名した「ベテル」(bethel)、すなわち「神(エル)の家(ベート)」に由来しているらしい。

ドイツに古くから障害を持った人々が受け入れられ、暮らしている同名の街(ドイツ名: ベーテル)
があり、第二次世界大戦中、ナチスが「優れた人間のみが生きる権利がある」との思想から、
障害者を抹殺しようとした時、住民が「彼ら・彼女らを連れて行くのならば、私たちも連れて行け」と、
命懸けで抵抗した。
1984年、浦河教会の牧師だった宮島利光がこのドイツのエピソードをもとに、「べてるの家」と命名
したのがこの「べてるの家」である。

べてるの家」の理念は「がんばらない」「あきらめが肝心」「弱さの情報公開」「偏見差別大歓迎」
「安心して絶望できる人生」・・・などのキーワードが並ぶ。
グループホームや作業場では「弱さを絆に」お互いを支え合い、「安心してさぼれる職場作り」を目指している。「降りていく生き方」は映画のタイトルにもなった。
(『BE-PAL』2011年2月号より)

精神障害というと、ストレスに対する脆弱さなどを特徴とし、日常生活の生き辛さなどから、マイナスの
イメージが大きい。
このハンディを逆転の発想で、ストレングスに転化したことが、大変ユニークで面白い。
精神障害という障害は、その時代や環境の影響を大きく受ける、とても人間らしい「障害」でもある。
べてるの家」の実践は、現代の日本社会に対するアンチテーゼとして、障害者問題を越えた、
提言を私達に示しているのだと思う。