~古民家・定年・集いの場~「やたいさんのコテツの部屋」

◆10年程前「私の夢:集いの場をどう作るか」というブログを行っていました。夢は達成されていませんが、これまで行ってきたことや、今後の取り組みなどを、時事的なものと絡めて記していきます。コ(古民家)テ(定年)ツ(集いの場)がキーワード。

◆「3.11をどこで過ごすか?」

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「3.11をどこで過ごすか」という会話が私達の周辺でも耳についた。

結局、私は、皆野町のむくげ自然公園の黒沢和義さんの「面影画」の講演会に参加した。

講演会は、震災発生前の午後2時30分から開始された。
司会進行は、1週間前に急遽この会を企画した、最近着物姿がすっかり板についているうらべにさん。

先ずは、「チーム武甲」という震災ボランティアの会の活動紹介があった。
寄居町在住で、福島市出身の大野さんが、母親の介護で帰省している時に被災。
それから、毎週、被災地へ救援物資等を送り届けている。
清酒「武甲正宗」の代表者でもある長谷川夫妻が2tトラックを提供してくれ、秩父方面を
中心とした震災ボランティアのチームが結成された。
女川町の桐ケ崎地区の仮設住宅支援等を継続的に行なうようになった。

そして、午後2時46分に黙祷。
その後に、黒沢さんの講演会が始まった。

http://kuroo3.cocolog-nifty.com/

このブログでも何回か紹介しているが、陸前高田での3ヶ月半余りにもおよぶ「面影画」を描く
ボランティアの活動は、大変ユニークなものだ。

先ずはその行動力と精神力に感服させられる
個人のボランティアとして、テントに泊り込み108日間、午前中に依頼者から話を聞き取り、
午後に絵と文章(ブログ)を書き上げる。これは気の遠くなるような、過酷で体力もいることだ。
大変さもさながら、大変有意義な活動だ。

①「ひたすら聞く」ということで、被災者のカタルシスの場となった
「面影画」の依頼をする方は、皆亡くなった方に対し、気持ちの整理がついていない。
避難所では、被災された方は、皆それぞれ被災の状況が違い、お互いに痛みが異なる。
その痛みを語りだすと、お互いが壊れてしまう。
それぞれの心の中には、話したい、だけど話せない、想いが渦巻いている。
テントという隔離された場所があり、故人への想いを語る。ただそれをひたすら聞く。
これが、被災者にとっては、とても重要な意味がある。

②次に、一人ひとりの生活や人間関係を、絵と文章に残す、自伝的な意義がある。
亡くなられた方の面影を絵として焼付け、永遠のものとする。
それはほんの一面かもしれないが、まさにその人の生きた証でもある。
黒沢さんのライフワーク「山里の記録」でも同様だが、生き生きとした○○さんその人を
紙に描きだす才能が秀逸だ。
歴史とは、一人ひとりが生きた証の積み重ねで、それを残された人がどう想い、引き継いで
いくかということなのだと思う。

面影画を依頼者に渡し、108日でテントをたたんで、終えたはずのボランティア活動。
それが思いがけない形で本になり、新たな命を吹き込まれ、歩き出した。