◆歴史が動くということ
先週の火曜日、出張で八戸まで移動時間だけで往復八時間の日帰りをした。
八戸も3月11日の日は津波の被害があり、海岸沿いの工場などはかなりの被害を受けた。
八戸市内の死亡は1人であるが、家屋の全壊または半壊が約1000世帯、床上浸水約1600世帯、
避難所69箇所(4月30日で全て閉鎖)、最大で約1万人が一時避難を余儀なくされた。
出張先でも、自ずと3月11日の震災の時どうだったかの話に及ぶ。
今回の地震は、東日本500キロ以上にわたる人が、揺れを体験し、停電やJRの停止なども同時に
体験したのだと改めて思う。
吉本隆明の「共通感覚論」という本が1970年代にブームになった。
東日本大震災という未曾有の震災をリアルタイムに体験した私たちに言えるのは、「共通体験」
ということだ。
私達が「共通体験」として捕らえたものは、実は「共通感覚」の集合体である。
明治維新、戦後、震災後、と時代の節目が新たに刻まれた。歴史が動くということは、多くの人が
今までと違う共通体験をする事なのだ。
青森と東京で、真に体験として、同じ話が即座にできる。これが、歴史が動くということなんじゃ
ないか?
佐々木瑠璃さんは陸前高田市の高校三年生。亡くなった祖母が買ってくれたトランペットで、震災後
一ヶ月、自宅跡で海に向かい、ZARDの「負けないで」を奏でた。
その後チャリティーコンサートに招かれて、演奏した。
震災を契機に医師になりたいとの気持ちが強まったとのこと。多くの人から反響があった。
「どんなに、離れてても、心はそばにいるわ」がお気に入り。
「だから、トランペットを吹いている時は、天国のお母さんたちとつながっていると思えるんです」
チャリティーコンサートに彼女を押し出した同じ思いが、歴史を動かしている。
私達の「共通体験」で歴史が動き、そして人と人との「つながり」が歴史を作り出すのだ。
※JR八戸駅で青い森鉄道へ乗り換え・まだ震災の影響が残る