◆50歳男性未婚率29%への処方箋
1月20日の朝日新聞オピニオン欄に、「孤族の国」がテーマにされていた。
僧侶の中下大樹さんという方と、みずほ情報総研主席研究員の藤森克彦さん、
社会学者の上野千鶴子さんの3名が意見を寄せていた。
みずほ情報総研主席研究員の藤森克彦さんは、昨年著書『単身急増社会の衝撃』で、
20年後の日本社会の姿を描いた。
これまでは高齢女性の一人暮らしが注目されていたが、中高年男性も著しく増加している。
大きな要因は、未婚化の進展で、50歳男性の未婚率は、1985年までは1~3%、1990年に
6%に上昇、2005年には16%。この傾向が続いた場合、2030年には29%になる予想だとか。
「日本の社会保障制度は家族の助け合いを前提に設計されている面がある」「家族の
助け合いを前提にした結果、日本の社会保障は国際的に見ると『安上がりな制度』となっている」
(主要先進国の中では、日本の高齢化率はトップだがGDP比でみた社会保障給付費葉低い水準
に留まっている)
このような現実を受けて、藤森克彦さんは「単身世帯では同居家族の助け合いを期待できない
ので、社会保障を強化する必要がある。そのためには、財源の確保が欠かせない」
「幸いなことに、日本の税金や社会保険料の負担レベルは、他の主要先進国と比べて低く、
引き上げの余地が残されている」そして、「負担増をしないで借金ばかりしてやり過ごしている
のでは、いずれ国民生活により大きな痛みが及ぶ」と、明快に増税は避けられないと説いている。
単身者の急増を防いでいくことも一方で必要と思うし、社会保障のみで単身のリスクを補う
ことはやはり難しいと思う。昨日のブログで書いた、僧侶の中下大樹さんが主張しているように、
「死の痛みを『縁』につながる」事と同様に、選んで単身になったのでなければ、「単身の痛み
または、リスクを『縁』につながる」ことが大事なのではなかろうか。